教育条件要望書

平成31年度 教育条件整備要望書

子どもたちの輝く未来のために

= 世田谷区立小学校の教育について望むこと =

 日頃より区立小学校教育の充実、発展にご高配賜り、心より感謝申しあげます。
 世田谷区立小学校PTA連合協議会では、本年も区内61校の小学校から提出された「教育条件整備に関する要望事項」をもとに、平成31年度の予算編成に向けて教育条件整備要望書を作成いたしました。
 保護者の共通の願いは、子どもたちが多くの時間を過ごす学校が、学習面だけでなく、精神的側面、身体的側面、社会的側面において充実することです。
 子どもたちが心身ともに健康に成長し、社会性を身につけ、将来にわたって豊かな人生を送るためには、家庭教育はもちろんのこと、学校教育、そして地域との連携・協働による教育が重要です。
 現代の子どもたちは、社会の多様化、AI(人工知能)の進化、グローバル化の流れなど、予測困難な時代を生きています。子どもたちにとって、これから必要となってくる資質、能力を育むためには、様々な施策を通して、質の高い教育を受けられるよう考えていくことが、私たち大人のつとめです。
 区内61校の子どもたちの小学校生活が、充実したものとなるためには、公立小学校として各学校間に格差が生じないことが必要です。各小学校の実情を十分考慮した、教育環境を整えるための予算の確保と配分を望みます。
 今後とも、世田谷区の子どもたちのために、継続的な力強いご支援をよろしくお願いいたします。

1.安心・安全な教育環境について

 昨今、大地震、異常気象による甚大な災害が増え子どもが学ぶ場所の安心、安全に対する保護者からの要望が強くなってきております。子どもたちが、より安心で安全な教育環境の中で学校生活が送れるよう、早期の適切な対応をよろしくお願いいたします。 
 特に、世小Pでは、学校施設・設備関連の早急な改善を望みます。

【 継続要望 】
1−1 校舎・体育館・プール・トイレの改築・修繕
 学校によって校舎の雨漏り、体育館床面の凹凸、プールの老朽化など、安全な学校生活に支障をきたしているところがあります。
 トイレについては老朽化による衛生面の悪化、学校を訪れる年配の方への配慮から、洋式トイレへの改装、在籍児童の増加により増設を望む声があります。児童の活動に合わせた体育館や校庭、プールへのトイレの設置を望む声も数多くあります。
 地震、洪水などの自然災害時、避難所として機能する学校(特に体育館の耐久性や非構造部分など)となるよう改善をご検討お願いいたします。

 校舎改築・修繕要望校  41校

 体育館改築・修繕要望校  25校

 プール改築・修繕要望校  11校

 プール目かくし設置要望校  (近隣住宅からプールが丸見えのため)  11校

 プール温水シャワー設置要望校  28校

 トイレ改築・増設要望校  46校

【 継続要望 】
1−2 熱中症対策 (プールの日よけ・体育館の空調設備・冷水器)
 近年の猛暑による熱中症・紫外線を心配し、プールの日よけを要望する学校が昨年度の1.5倍に急増しています。特に、屋上にプールがある学校は日差しも一段と強く、熱中症や紫外線による被害などさまざまな健康不安が強くなってきています。
 体育館の空調設備においては、近隣住宅との関係で窓が開けられない、2階に体育館があり輻射熱の影響により通気性に問題がある学校も多くあります。また地震、水害などの自然災害時、避難所として機能する学校としての各校の空調設備・寒暖対処を引き続き要望します。さらに熱中症対策として冷水器の設置をお願いします。

 プールの日よけ  44校

 体育館の空調設備  47校

 冷水器の設置  5校

 

 特に、熱中症対策については、今夏の酷暑を受けて、早急な対応をお願いします。今後、夏季の体育の授業は、施設の設備・改善無しには成立しないのではないか。また、今年よりも深刻な状況が来年起きる可能性もありえるのではないか、という心配の声があがっています。プールサイドだけではなく全体を覆う日除けの設置、および災害時に地域の避難所として機能できる体育館の空調拡充に向けての、早急な対策を強く要望します。

【 継続要望 】
1−3 警備員の児童在校時全時間帯配置
 防犯カメラの全校への設置をありがとうございました。しかし不審者に関する案件が多発する中、保護者の心配する声が一段と高まっています。
 保護者も地域の方と協力をしながら子どもたちの登下校を中心に防犯パトロールを行っていますが、在校時間帯の安全を守るには何よりも警備員の存在が大きいと考えます。
 専任警備員の常駐配置は予算的に難しいとご回答をいただきましたが61校中50校から、各校専任の警備員を児童在校時全時間帯に配置していただきたいと強い要望が出ています。その他門のオートロック化、登下校お知らせシステム導入など、子どもたちが安心して学校生活が送れるよう、早期の対策をお願いします。

 警備体制の充実  50校

 門のオートロック化  7校

 登下校システム  7校

【 継続要望 】
1−4 学校給食の放射性物質検査
 平成30年度も、「調理ずみ給食」、「牛乳」、「米」について、放射性物質検査を行っていただき、ありがとうございます。給食食材の安全性を心配する声は依然強く、引き続き検査の実施、検査結果の公表を要望します。


2.学校教育の充実について

 子どもの基礎学力向上を図るためには、学校による格差が生じず、児童の発達段階を考慮した基礎・基本の学習を正しく理解、習得できる教育の推進が大切であり、そのために以下のことを要望します。

【 継続要望 】
2−1 指導体制、教科指導の充実
 児童数増加や新学習指導要領の実施により先生方の仕事量も増え、多岐にわたる事務作業に追われています。
 スムーズな学級運営、充実した授業、そして児童一人ひとりと向き合うためには副担任制など数に余裕をもたせた教員の配置が必要と考えます。
 英語・理科・体育・家庭科は専門的知識や技術を伴う教科のため、学校差が生じないよう専門教員による指導が必要であり、それにより担任の学級運営の時間確保に繋がるのではないかと考えます。また、学校包括支援員、栄養士、養護教諭の増員配置を望む声があります。全学年35人学級にすることにより、きめ細やかな対応ができるのではないかと考えます。
 副担任・専科教員などの配置を考慮に入れた教員定数の引き上げを、引き続き東京都へ働きかけていただきますよう、お願いします。

 副担任制などの配置  40校

 専任教員の配置  33校

 学校包括支援員などの増員  34校

 全学年35人学級の設置  38校

【 継続要望 】
2−2 英語教育強化
 文部科学省に於いて2020年から新しい学習指導要綱が実施されるにあたり、英語専門教員、ネイティブ教員、英語支援員などが不足している状況です。時間数が増えることにより、更なる人材不足が予想されるため、専門教員の増員が早期に必要です。
 授業数の増加・少人数クラスでの対応・低学年からの導入など授業の質の向上をもとめる多くの声が上がってきています。英語教育強化を要望します。

 英語専任教員の増員  41校

 授業数の増加  22校

 少人数クラス対応  21校

 低学年からの導入  21校

【 継続要望 】
2−3 スクールカウンセラーの勤務日の増加
 東京都任用のスクールカウンセラーを加配いただき制度が各校定着し、利用する児童や保護者の数が年々増加してきています。今や学校になくてはならない存在となっています。
 しかし、不規則な勤務体制や非常勤ということもあり、子どもや保護者から「相談したいときにタイミングが合わない」「カウンセラーとの信頼関係が築きにくい」「うまく連携が取れない」など時間・日数・信頼関係の構築に関する声が多く寄せられています。
 平日に相談時間のとれない保護者の増加により、土曜日も対応して欲しいとの声もあります。平成30年度より比較的規模の大きな学校では月8日配置へと拡充していただいていますがまだまだ要望する声は多くあります。
 また小・中学校(学び舎)での連携を強め、密な情報交換をしていただくことにより安心して進学できると考えています。養護教諭との連携も含め、心の保健室としていつでも相談できる環境を整えていただけるよう、スクールカウンセラーの常勤を強く要望します。
 さらには、いじめや暴力行為などの問題行動の防止や早期発見・早期解決につながるよう、世田谷区の対策である【世田谷区いじめ防止等対策連絡会】が定着・機能し、連携していくことをあわせ要望します。

 スクールカウンセラーの勤務日の増加  42校

3.特別支援教育に関する充実について

 特別支援教育推進にあたり、配慮を要する児童の学校生活と地域生活支援の充実を図るため、以下を要望します。

【 継続要望 】
3−1 特別支援学級の設置校の増設
<特別支援教室>
 支援を必要とする児童が多岐にわたるため未だ各校からの要望も様々あります。とてもセンシティブな面を含むので全保護者への周知が不足しているように思います。また、各校内に設置されたことにより支援を希望する児童が増え、場所・指導者が不足しています。必要な支援が当たり前に受けることができるよう改善を望みます。

<特別支援学級>
 特別支援学級に関しても圧倒的に場所・指導者が不足しています。
 世田谷区で推進している「9年教育」と「特別支援教育と教育相談体制の強化」をさらに充実させるためにも、現在、近隣に特別支援学級がなく遠方に通級している子どもや保護者の負担を軽減し、自分が生活する地域の方に見守られながら、学び舎単位で連携した教育を受け自立していけるよう、特別支援学級設置校の増設、もしくは各校への設置を要望します。

 特別支援学級の各校設置  38校

【 継続要望 】
3−2 通常学級での学校支援員の増員など、人的支援の充実
 平成30年度より学校包括支援員を5人増員いただきありがとうございます。
 しかしながら「担任1人では、配慮が必要な子どもへの対応に限界がある」「もっと通常学級に専門の知識を持った補助の支援員を増員してほしい」という声がいまだ多く寄せられているのが現状です。
 保護者や地域の方から支援ボランティアを募集し、サポート体制を補強している学校も一部にはありますが、引き続き、低学年の早期から、子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じた全校的な人的支援体制の充実を要望します。
 また、通常学級教諭への専門知識の教育、養護教諭、スクールカウンセラーとの連携強化も引き続き望みます。

【 継続要望 】
3−3 「共に学び合う」環境づくりへ
 将来社会の一員となる子どもたちが、小学校の年代からさまざまな人と出会い、助け合い、学び合うことを経験することは、人格形成上、極めて有用なことと考えます。また将来的に、国の政策にもある「インクルーシブ教育」を視野に入れ、子どもたちが「共に学び合う」環境づくりを整えていただけるようなプロジェクト計画の継続的な推進もお願いします。


4.新BOPについて

 平成31年度より放課後の学校図書室利用の全校実施を進めているとご回答いただきありがとうございます。仕事を持つ保護者の増加により、新BOPの登録人数も増加してきています。子どもたちがより安心して放課後を過ごせるように、さらなる時間の延長、十分な活動場所の確保、学校施設利用、常勤職員の増員、適正な指導員やプレーイングパートナーの確保、加配を望む声があがっています。また、給食がない日や学校休業日にBOPで弁当を食べることが認められないことに対する困惑の声が非常に強まっています。例えば、高学年の兄はBOP、弟は学童クラブというケース。弟は学童クラブで弁当を食べられますが、兄は弁当を持参できず一旦帰宅して昼食をとってからBOPに再び戻るなどの不自然な事態が起きています。高学年がBOPで弁当を食べることが柔軟に認められるようご検討ください。このことに関する問題点を改めて整理していただき、改善をお願いします。新BOPに関する規約では、昼食の取り扱いについては、「低学年児童で保護者不在などの申し出があり、新BOPで昼食をとる必要があると認められる場合は、保護者の用意したお弁当を12時〜13時を目安にとることができます。」という文言があります。しかし、実際にはほとんど周知・運用されていませんので、今一度通達をお願いします。
 その他、児童館の設置、「せたがや外あそびプロジェクト」の継続的な推進もお願いします。

 学校休業日の昼食弁当対応  18校

 時間の延長や場所の拡張  45校

5.世田谷9年教育について

 「まだまだ目的やメリットが分かりづらいという声が上がっています。今後も継続して保護者への周知、説明をお願いします。
 また、「世田谷9年教育(学び舎)」において、学区域が学び舎の枠を超えているため、複数の学び舎に属し、学び舎として連携・活動しづらくなっている学校もあります。世田谷9年教育をすすめていく上でも、学区域編成の見直しを要望する声があがっています。
 「世田谷区立小・中学校の適正規模化・適正配置」に基づく学校の統合に併せ、学区域の見直しのご検討を引き続きよろしくお願いします。

  学区の見直し  8校



 以上、区内61校すべての子どもの確かな学力の育成と定着、健やかな成長が約束され、自立的に幸せを得る力を持てる教育が格差なく受けられるよう希望します。
 そのためにも必要な教育環境の整備が図れるための教育予算確保を切に希望します。継続的に力強いご支援をよろしくお願いします。









「世田谷区立小学校PTA連合協議会 平成31年度教育条件整備要望に対する回答書」はこちら

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